ヒキガエルは、体の色や形が気味悪く、あまり気持ちのいい动物ではない。だから、人に嫌われることが多い存在なのだが、本当は人间にとって大変役に立つ动物なのである。
ヒキガエルは、青虫．ガ．イナゴ．カ．ハエ．ナメクジ．ダニなど、农作物や家畜に害を与えるものを、かたっぱしから食べてくれる。だが、あの动作のにぶいヒキガエルが、いったいどのようにしてこれらの小动物を退治するのであろうか。
あるとき、科学者が、ヒキガエルがえものをとるとことをカメラに収めようとして、その前にミミズを置いた。そして、カメラをのぞくと、もうミミズはなかった。ほかにだれもミミズにふれたものはいないし、ヒキガエルが动いた様子もないのに、ミミズは影も形もない。まつで、蒸発してしまったかのようだ。再度ミミズを置き、急いでカメラをのぞいたが、今度もやっぱりミミズがなくなっていた。ヒキガエルは、同じ所に平然と腰を下ろし、何かを饮み込んでいた。
ヒキガエルがミミズをとったことは容易に推测できるのだが、その早わざの秘密を観察することができない。そこで、特别な装置を作り、毎秒三百こまの高速度カメラで撮影した结果、やっとそのなぞが解けた。
ヒキガエルの武器は、舌である。それは、ぴんと伸ばしたゴムひものように、口から飞び出してミミズに触れたかと思うと、たちまちのうちに戻っている。ヒキガエルの舌は、最高十センチメートル离れた所にあるえものをとらえることが可能であり、しかもこの动作にかかる时间は、わずか十五分の一秒である。そのため、人间の目には映らないのである。
さらに研究を进めると、ヒキガエルが大変すばらしい射手であることが分かった。ふつう、ヒキガエルは、动いている生きた动物だけをとり、死んだ动物には见向きもしない。目がその场の様子を正确にとらえ、判断し、重要な情报だけを脳に送る。例えば、ハエが近くを飞んでも、舌の届かない所であれば、目は脳に情报を送らず、まるで目に入らないかのように、ヒキガエルはじっとしている。ところが、いったん舌の届く距离に入ったとたん、すばやく动く虫でも一発で仕留めてしまう。
このようなヒキガエルの働きは、アメリカ．ブラジル．オーストラリア．フィリピンなど、世界の多くの国々で利用されている。
例えば、ブラジルでは、全长二十二．五センチメートルもある大きなヒキガエルが育成されており、果树や野菜の害虫退治に大きな役割を果たしている。このヒキガエルは、ニューギニア岛やフィリピンなどにも输入され、サトウキビ畑をあらすコガネムシの幼虫退治に大活跃をしている。
ヒキガエルはすがた形がみにくいだけでなく、人间に不幸をもたらすえんぎの悪い动物だという俗说が古くからあった。しかし、本当は、さまざまな害虫に対するまたとない天敌であって、人间に幸福をもたらす动物なのである。
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